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3.20 オウム真理教とその根源、そして社会に染み出す宗教のエッセンス

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今朝は3月20日ということで霞ヶ関駅に行ってきたが、献花台の前に多くのメディア関係者が集まっていた。

今日は地下鉄サリン事件から22年の日である。無論3.11も印象的な日であるが、僕にとっては3.20も人生に大きな影響を与えている。

 

22年前のこの日、霞ヶ関駅に通じる3路線(丸ノ内線日比谷線、千代田線)に猛毒のサリンが撒かれた。

 

撒いたのは新宗教団体オウム真理教の信者であり、幹部には理工系の高学歴信者が名を連ねていた。

 

僕はまだ小学生だったが、当時の状況をありありと思い出すことができる。

 

地下鉄サリン事件の後はメディアがオウム一色に染まり、朝から晩まで教団の施設(サティアン)や風変わりな修行(水の中で息を止める、土に生き埋めになるなど)、教祖の空中浮遊などが報道された。


それは時に面白おかしく取り上げられ、教団幹部がワイドショーでコメンテーターと激論を繰り広げるなど、とにかく彼らはメディア映えした。

 

そしてまた、オウム以外の部分でも世紀末を思わせる文化が流行した世相だった。

 

・オカルトブーム
→ 当時はまだオカルトブームが残っており、テレビでは怪しげな超能力者や霊能力者が出演したり、疑似科学を取り上げる番組が定期的に放送されていた。
今では超能力はほとんどトリック、UFO映像は素人が作ったネタ、疑似科学には再現性が見られないことが露呈しているものの、当時はそれなりに真実味があった(これは主に演出のせいである)。

学校の怪談ブーム
→ 小中学校では学校の怪談が流行し、「トイレの花子さん」「テケテケ」といった噂話に子供たちは熱狂した。
まさに95年には映画「学校の怪談」が公開されて大ヒットした

ノストラダムスの大予言
→ 「1999年に世界が終わる」という予言が世間を賑わせ、信じるかどうかは別として多くの人の心に留まっていた。

 

これらをまとめると、テレビでは怪しげなオカルト番組が放送され、学校では子供たちが怪談話に心ときめかせ、そして多くの人が世紀末に訪れる世界の終わりに思いを馳せていた世の中だった。

 

多分にもれず僕もオカルト少年として育ち、学校からの帰り道、リコーダーで尊師マーチを吹いて怒られたり(音楽の授業を真面目に受けたのはこのためだったと断言できる)、プールで息を止めて遊んでいたりした(今思うとよく死ななかったものだ)が、ノストラダムスの大予言をきっかけにオカルトネタばらし派に転向したのは何度か書いた通りである。

 

このようにオウム真理教にもオカルトにも多大なる興味を持っていた僕だが、オウム真理教とオカルトがどう結びつくのかについては長いこと明確に説明できなかった。
これはハマったのが子供の頃というのもあるが、オウム真理教というものが一体どこに根源を持ち、その根源が他のどの事象に関係しているかについて分かりやすく書かれた本に出会わなかったことも大きい。これについて話せるようになったのは、読書会も行った、宗教学者大田俊寛氏の著書を読んでからである。

 

オウム真理教が若者を惹きつけたのは、「特殊な修行を行えば、常識を越えた超能力を身につけることができる」という考え方を広めていたためであり、瞑想(や時には飲み物にこっそり混ぜられたLSD)を通じて神秘体験を得た若者が心酔していった(これも今ではある種の状況下では多くの人に起こる状態であることが分かっている)。
この「ヨガや瞑想によって超能力を身につける」という思想は阿含宗という新宗教を経てニューエイジ、そして神智学へと辿り着く。この思想がUFOやマヤ暦などのオカルト、高次元霊とのチャネリングといったスピリチュアルの元ネタになっていることは以前にも書いた。

 

90年代とは状況が大きく変わり、オカルトは下火となり(今はネットですぐにインチキがばれる)、新宗教アレルギーも根深いために「これはある宗教の...」と言われるだけで受け入れられなくなる世の中であるが、今もなおそれらを大幅に薄めた形で(特に「宗教ではない」という触れ込みで)エッセンスが世の中に染み出している。それはロハスでありスピリチュアルであり自己啓発であり代替医療であり、マルチ商法であり疑似科学である。例えば近所に「EM菌で服がキレイに!」などと謳っているクリーニング店があるのだが、彼らは、あるいは3.11以降EM菌を持て囃した人々は、それがもともと世界救世教という新宗教と深いつながりを持っていることを知っているのだろうか。恐らく知らないだろうし、知っていても表に出すことはまずない。こうしてそのルーツが知られることのないまま要素だけが世に広まってしまう。僕はここに大きな欺瞞を感じずにはいられないのである。

 

オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義

オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義

 

 

 

 

オウムとナチスと幸福の科学と. ~現代オカルトの根源~ 後編

前編では幸福の科学の教義と、その元を辿ってGLAに触れた(思ったより長くなってしまった)。
今日はGLAから更に宗教思想史を辿り、様々なカルト宗教やオカルト(子供の頃親しんだオカルトが実は宗教思想の方便だったことを知った時の衝撃よ)、危険な思想を産んだ神智学に辿り着きたいと思う。

 

今日の記事も長くなってしまったのでまとめを簡単に書いておく。

1. 幸福の科学の元を辿るとニューエイジを経て神智学に辿り着く
2. 神智学はヨーロッパに渡ってナチスを生み、日本に渡ってオウムを生んだ、極めて危険な思想である
(3. 自己啓発ももともと宗教)

 

昨日は幸福の科学の元となったGLAについて触れた。この教団の高次元霊との交信や、高級霊と低級霊(≒悪魔)といった思想の多くが幸福の科学に受け継がれている。

余談ではあるが、GLAと関わりを持った作家に平井和正氏がいる。『幻魔大戦』という作品を知っているだろうか。

 

幻魔大戦 [DVD]

 

漫画化や映画化もされた人気作なのだが、この作品の内容が「ある日超能力に目覚めた高校生が、世界を破滅させる幻魔と戦う」というものなのである。このように、GLA高級霊vs低級霊、「覚醒」した人間による超能力の発揮といった概念は、氏の作品を通じてサブカルチャーにも波及することとなる。

 

さて、GLAにも影響を受けた宗教が存在する。
その宗教は「叡智のアガシャ聖堂」と言う。高級霊との交信や、その霊の指導に従うユートピアの建設など、教義の共通点が指摘されている。この教団はアメリカを本拠地としており、当時存在したニューエイジ新宗教の一つである。ここでようやく「ニューエイジ」が出てきた。

 

ニューエイジ

 

少しサブカルチャーに詳しい人なら、「アメリカのヒッピーが大麻LSDをやりながら『おお、俺は神秘的な世界を垣間見たぜ!!』とかやってるアレ」と言ってもらえば分かるだろうか。何もドラッグをキメたいだけでやっていたわけではなく(いやそういう人が大半だったかもしれないが)、それには一応理由がある。

 

ニューエイジというのはその名の通り、「新しい時代」を語源とする。「新しい時代」とは西洋占星術における十二宮周期(2160年周期という長い周期である)の「水瓶座の時代」を指す。現代はその前の「魚座の時代」にあり、ゆくゆくはこの時代の物質的な制限・常識を超えた、新しい時代がやってくる。その時代の思想を先取りしているのがニューエイジャーだ、というわけである(何故魚かというと魚はキリスト教=現体制のシンボルだからである)。

 

水瓶座の時代」は英語で「アクエリアンエイジ」であり、実は超能力でバトルする同名カードゲームはこれに由来する。

 

ニューエイジという思想は極めて多様な概念を含むため簡潔にまとめるのは難しいが、概ね既存の体制(=魚座の時代)へのカウンターであり、一部を取り上げると下記のようなものである(現代オカルトの根源ではあまり触れられていないので、島薗進著「精神世界のゆくえ」を参考に要約)。

1. 意識変容・霊的覚醒による自己実現 : 自己をより高い次元へ近づける
2. 現代文明の行き詰まり : 既存の体制は行き詰まっているので新しい知を育てなければならない
3. 超能力・超古代文明は実在する
4. 指導霊の実在
5. 思考は現実化する:個人の意識は世界と繋がっている
6. 宇宙の霊的進化と意識の進化は繋がっている
7. 輪廻転生 : 魂は死後も存在し続ける
8. 宇宙人との接触:宇宙人は既に地球にやってきており、高度な知性を持っているものもいる

 

ヒッピーがLSDを摂取して幻覚に耽っていたのは1.の発想によるものであり、神秘的な世界に触れることで意識変容し、より高い次元へ行くことができるという発想である。
また、超能力や宇宙人などのオカルト成分も含まれているが、これは既存の体制へのカウンターとして考えれば理解できる。
つまり、「今の文明では解明できないことをニューエイジャーは知っており、既存の常識に支配されている人間より上等だ」というわけである。

 

この思想から、超能力の存在や霊との交信、宇宙の霊的進化(アクエリアンエイジへ)といったものが教義・教団化したのである。

 

ちなみに、5.の「思考は現実化する」は僕が十代の頃に耽溺した自己啓発本のタイトルそのままだが、自己啓発ニューソートというキリスト教思想が源流である。自己啓発も、そもそもは宗教思想の一形態なのだ(ニューソートを日本に持ち込んだのが生長の家谷口雅春)。

 

ここまで挙げてきたニューエイジの「宇宙は特定周期で霊的に進化し続けている」という思想や、「指導霊に従ったり霊的に覚醒することで自己を高められる」という思想は「神智学」という思想の影響を大きく受けたものである。

 

この「神智学」という思想は、オカルト成分が強いせいかあまり研究されていないが、この思想は世界各地に渡って危険思想やカルトを生み出した元凶と言えるものである。ここからは神智学の概要について簡単に触れる。

 

神智学はヘレナ・P・ブラヴァツキー(1831-1891)という人物によって生み出された。彼女はもともとロシアにいたのだが、結婚生活がうまくいかずに家を飛び出し、世界中を放浪した。この時触れた様々な宗教や神秘思想を折衷して作り上げた思想が、その後世界に思わぬ影響を与えていくこととなる。

彼女が生み出した神話は下記のようなものである(かなり簡略化している)。

 

宇宙論
宇宙は神から生み出された天使達によって作られた。神と天使達はビームを降り注がせることによって太陽系の惑星霊たちを創造した。神は太陽系に7つの周期を設定し、それに沿って宇宙を進化させようとする。

 

○人類論
宇宙論で述べた7周期のうち、第4周期で地球に霊が誕生した。7周期の中にはさらに7つの段階が存在し、人間は下記7段階の根幹人種を経て進化する。

1. 「不滅の聖地」に発生
2. ハイパーボリア人
3. レムリア人
4. アトランティス人(第三の目と超能力を持っていたという)
5. アーリア人(今はこの段階)
6. パーターラ人
7. 神人として聖地(1.の場所)に回帰

 

今の人類は第5段階にあり、アーリア人が支配種族である。
人類は北極近辺にある不滅の聖地に発生した。最初は霊的に進化していたが、文明が発達する度に物質的・動物的な欲望(科学や獣姦など)に支配されてしまい、文明は滅びてしまった。例えばレムリア人の中には獣姦(!)を行った者たちがおり、霊的な堕落が起こったためにレムリア大陸は沈没した。但し、滅亡の度に生き残った人類が存在し、次の段階の文明を作ってきた。今の世界でも「正しい」霊的進化をしている種族と「動物的な」物質的進化に取り込まれてしまっている種族が存在する。我々はこの世界において、霊的に進化していかなければならない。

 

読んでいて頭が痛くなってくるような内容だが、宇宙と人類の霊的進化、超古代文明・超能力といったオカルト、そして「霊的進化をしている種族は高尚であり、物質的進化を志向する種族は堕落している」という発想の元ネタがここに現れていることが分かる。

 

神智学はブラヴァツキー夫人の死後も発展を続け、後継者がオカルト好きだったことからさらにオカルト色を強める。
・秘密結社陰謀論:人類の霊的進化を妨げる悪の勢力「闇の同胞団」が存在する。
・人間を霊的に進化させようとする善の勢力「大聖同胞団」が存在する。この組織には9つの階級が存在し、歴史上の偉人たちはここに所属していたのだ。
・9つの階級の最上位に位置する霊格は金星からやってきた。
・ヨーガや瞑想によって超能力や霊能力を身につけることができる

...などなどである。

 

金星から地球を統べる霊格が地球にやってきたことになっていたり、9次元の階級が存在したりという部分は幸福の科学の教義にも見られ、オカルト色も後世の思想に引き継がれていることが分かる。

 

このような個人の妄想にしか思えないような内容の神智学がなぜ生まれ、広まったかというところには、実は生物学が関係している。進化論である。

 

「神が世界を創造した」という教義が生物学によって否定された際、宗教サイドがそれにどう対処するかという問題が発生した。神智学はその際の宗教サイドの反応の一つである。それまでの一神教的世界観を様々な宗教・思想を折衷した霊的世界観に置き換え、さらに進化論までも折衷したのだ。

 

さて、ここからは神智学の後世への影響についてまとめる。

アーリア人」、「高尚な種族とそうでない種族が存在する」...どこかで聞いたことがないだろうか。

 

途中をかなり省くが、「アーリア人が人類を支配する種族である」とした神智学はヨーロッパに渡ってユダヤ陰謀論と結びつき、アーリア人ゲルマン人の純血を守ろうとする思想が生まれた。この思想を持った集団に「トゥーレ協会」というものがあり、ディートリッヒ・エッカートやルドルフ・ヘスといった人物が会員になっていた。

 

この協会は最初は単なるオカルト結社だったが、次第に政治色を強め、1919年に「国家社会主義党」、そして1920年に「国家社会主義ドイツ労働者党」となる。既に分かっていた人もいるだろうが、「国家社会主義ドイツ労働者党」とはナチスのことである。

 

他の要因はあるにしろ、神智学の持つ選民主義や陰謀論ナチスの思想を産んでしまったのである。

 

さらに神智学は日本に入った後、ヨーガや密教修行による超能力開発の潮流を生む。この潮流に阿含宗という新宗教がある。密教修行を行うことにより超能力を身につけることができる(ヨーガ修行の部分で神智学が引用されている)というこの教団には、麻原彰晃こと松本智津夫が所属していた(これはオウム真理教マニアなら皆知っているネタだ)。オウム真理教の厳しい修行と超能力開発といった教義も、元を辿ると神智学にかなり影響を受けている(というか元ネタ)といえる。

 

そして僕がかつて信じていたオカルトも、神智学の影響下にある。ジョージ・アダムスキーという人物をご存知だろうか。「アダムスキー型UFO」なら知っている人も多いかもしれない。僕はアダムスキーについて「UFO好きな爺さん」くらいに思っていたのだが、彼の正体はそうではない。彼はもともと、神智学の影響を受けた「王立チベット教団」という団体を率いてコミューンで暮らす宗教思想家だったのだ。ところが神智学のネタにUFOネタを折衷した(何故折衷したかというとUFOが流行ったからだ)本がバカ売れしてしまい、UFOネタで生活していくことになったのだ。つまり彼の思想は神智学の1バリエーションだったわけである。

 

超古代文明ネタやマヤ暦ネタも同じような構造にあり、いずれも神智学を補強するネタが広まってしまった。
かつてハマったオカルトがカルト思想の補強ネタだったとは、インチキばらしから更に踏み込んだネタばらしをされた気分である。

 

幸福の科学の元ネタを辿る100年の旅がようやく終わった。たった100年そこそこでよくもここまで世界をかき混ぜてくれたものだと思う。それ程一部の人には神智学は魅力的であり、だからこそ危険なのである。

 

ここまでの記事は主に下記書籍を元に書いた。

大田俊寛著「現代オカルトの根源
島薗進著「精神世界のゆくえ
・レイチェル・ストーム著「ニューエイジの歴史と現在
東京キララ社編集部編「オウム真理教大辞典

 

 

 

 

精神世界のゆくえ―宗教・近代・霊性

精神世界のゆくえ―宗教・近代・霊性

 

 

 

ニューエイジの歴史と現在―地上の楽園を求めて (角川選書)

ニューエイジの歴史と現在―地上の楽園を求めて (角川選書)

 

 

 

オウム真理教大辞典

オウム真理教大辞典

 

 

 

オウムとナチスと幸福の科学と. ~現代オカルトの根源~ 前編

最近アイドル出家騒動幸福の科学が話題になっていたところに、たまたま幸福の科学オウム真理教の根源を探る書籍を読んでおり、読書会のテーマにもしていたので少し書いておく。

 

何もいきなり幸福の科学が生まれたわけではない。完全にオリジナルなものはないと言われるように、特に新宗教には影響を受けた相手というのが存在する。

 

これからオカルト話がかなり出てくるので僕のスタンスを書いておくと、オカルトネタは好きだけど、どんな嘘情報や誤解だったのかを調べるのが好きな
元オカルトマニアといったところである(なのでオカルトネタに関してはオカルト好きと同程度には知っている)。僕が小学生の頃にノストラダムスの大予言ブームというのがあり、オカルト少年だった僕は当然のように信じて「早く世界終わらないかなぁ」とめちゃくちゃ楽しみにしていたのだが、あっさりと外れてしまった。それからこれは何かおかしい、と思って調べたところ、これまで信じていたオカルトネタが実は誤解や嘘証言だったという情報がどんどん分かってきて「こんなインチキ情報を広めるわけにはいかん」と思うようになった次第である。オカルトのネタばらし入門としては、「パレンケの石棺」で検索してもらうと良い。

 

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パレンケの石棺.横に見て「超古代の宇宙人だ!」などとオカルト本に書かれたものだが、本当のところは...

 

前置きが長くなってしまったが、ここからは、現代オカルトの根源(大変素晴らしい本なので是非購入頂きたい)をベースに、ニューエイジ本で補助しながら幸福の科学の根源を辿る100年の旅に皆さんを招待しよう。

 

さて、幸福の科学という教団は、その知名度の割には教義の内容についてあまり知られていない。幸福の科学公式サイトにムーやアトランティスの話が書いてあるように、内容としてはかなりオカルト色が強いものとなっている。

 

簡略化して説明すると、この世界の根源は「大宇宙の根本仏」であり、そこから生まれた高次元霊から作り出されたのが今の宇宙である。この高次元霊のうち、地球を統べるのが「エル・カンターレ」であり、これが下生したのが大川隆法氏ということになっている。ところが、かつてある高次元霊が反乱を起こし、地球でサタンという名前で生まれて地獄界を作ってしまった。このため、この悪魔に取り込まれた霊を持つ人間は地獄界に堕してしまう傾向を持つこととなる。
宇宙は正しい高次元霊と悪しき悪魔との戦いの場であり、超古代文明が何度も生まれては滅びていった(超古代人には第三の目があり超能力を使えたという)。
このため今を生きる我々は堕落しないようにし、ユートピアを築かなければなければならない。そして世界は、大川隆法氏がいる日本を中心として発展するはずである。
というのが大筋である。

 

教団が他者を攻撃する際に悪魔呼ばわりしたり、右寄りなのは上記のロジックによるものだ。

 

かつてのオカルトブームを知る人であれば、「あれこれ子供の頃オカルト本とかMMRで読んだぞ...」と思うような内容であるが、とはいえ、神智学~ニューエイジの流れ
からすると特別突飛な内容でもない(神智学とニューエイジについては後述する)。
そう、この教義にもインスパイア元が存在するのだ。

 

総裁である大川隆法氏の出生名が中川隆であり、もともとは東大卒の商社マンだったことはネットでたびたびネタになるので知っている方も多いと思うが、彼が別の教団の強い影響を受けていたことはあまり知られていない。その教団は"GLA"と言い、新宗教について調べたことがある人なら一度は聞いたことがある教団である。
大川隆法氏はもともとこのGLAの著作に心酔しており、教団設立前からGLA設立者である高橋信次の霊と交信したり、初期の幸福の科学で「高橋信次UFOと宇宙」といった本を20冊近く刊行している。ここから分かる通り、初期の幸福の科学GLAの分派としての色を持っており、その教義にも共通点が多い。

 

GLAの教義においても高次元の霊的存在との交流による導きや、人間の堕落による超古代文明の滅亡やユートピアの建設が説かれており、幸福の科学のかなりの部分がこの教団の影響下にあることが見て取れる。

ではこの一見突飛な話の要素は、一体どこから来たのだろうか?

ここで出てくるのがニューエイジと神智学である。

 

後編ではニューエイジと神智学の概要と、それが後世に与えた影響について見ていこう。

 

 

 

 

精神世界のゆくえ―宗教・近代・霊性

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<スピリチュアル>はなぜ流行るのか (PHP新書)

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八幡神の足跡を探して ~英彦山・香春と八幡信仰~

最近神仏習合に興味を持っていることもあり、今回の帰省では八幡神について調べながら初詣をした。

 

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英彦山神宮 銅の鳥居 - 国指定重要文化財

 

八幡神とは宇佐神宮を総本社とする武神で、神社本庁の調査によれば「八幡神社」は2位の伊勢信仰を大きく引き離して最多であり、全国で篤く信仰されている。
古くは8世紀の隼人出兵から近代では第二次世界大戦でも奉じられたこの武神は、「南無八幡大菩薩」と書かれた幟が掲げられる通り、神仏習合色を強く持つ神であり、神道の神でありながら僧侶の姿で描かれる(僧形八幡)など実に興味深い。

 

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神でありながら僧侶の姿で表現される八幡神(僧形八幡) - wikipediaより

 

この八幡神について調べながら地元で初詣をしたのは、宇佐神宮が総本社である通り、この神が北部九州と深い繋がりを持つからである。

さて、今回参詣した神社について話をすると、今回は地元にほど近い香春神社に向かった。この神社は「辛国息長大姫大目命」を祀っており、「辛国」とは韓国のことを指す。つまり、この神様は渡来系の神様である。

 

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香春神社の解説

 

ところで、この神社がある香春町には「採銅所」という地名があり、かつて採掘した銅が宇佐神宮の鏡や奈良大仏建造に使われたという。

渡来系の神、鉱山技術とくれば連想されるのが渡来人である。この香春神社の神官は「秦氏」の系統であるという。「秦氏」とは渡来系の有力氏族であり、日本に養蚕や土木技術をもたらした。はじめ豊前に渡って来た後中央に進出し、各地に地名が残る。例えば京都の太秦秦氏が開拓した土地であり、そこで氏神として祀られているのが三柱鳥居で有名な木嶋神社である。
秦氏については渡来系、有力氏族、謎が多いときているために日ユ同祖論というトンデモ歴史論に使われてしまうことも多いのが面白いところである。古代イスラエル北王国の失われた10支族が南王国に先駆けてディアスポラし、その一部が秦氏として日本に渡来したというトンデモ歴史観なのだが証拠は何もない。更に八幡(ヤハタ)=ヤハウェなどという話もあり、あくまで話としては面白い。

 

香春と渡来人の関係について考えたところで、八幡神の天降りに関する言い伝えを引いてみる。「八幡宇佐宮御託宣集」によれば、「辛国の城に、始て八流の幡と天降って、吾は日本の神となれり」という文言がある。「辛国の城」とは渡来人の進出した土地であり、実はこれが香春ではないかという話があるのだ(大隅の辛国城という説が定説のようではあるが...)。

そして、八幡総本宮である宇佐神宮が渡来系の有力氏族である辛嶋氏(今も宇佐に辛島という地名が残る)と大和系の大神氏の勢力地の間に存在しており、大神氏が優位を確立させた後も辛嶋氏が宇佐神宮神職を務めていたことを考えると、豊前に渡来した渡来人が東に勢力を広げ、宇佐の地で大和の神と習合して誕生したのが八幡神ではないかと考えられるのである。

 

さらに、今回訪れた英彦山八幡神神仏習合に由縁のある場所である。

 

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英彦山神宮 奉幣殿 - 国指定重要文化財

 

宇佐神宮にはかつて巨大な神宮寺が存在していたのだが、この別当を務めた法蓮という僧侶は英彦山で修行しており、「彦山流記」には、法蓮が修行の末に如意宝珠(彦山権現がインドから持ち帰ったもの)を手に入れたところで八幡神にそれを取られてしまい、それを法蓮が咎めたところ、宇佐神宮の神宮寺別当として収まるよう請われたという伝承が残っている。

この宇佐神宮では仲秋祭という祭事が行われているが、これは元は仏教放生会(神仏分離令によって変更)であり、放生会とは生き物を野に放つことで慰霊を行のが目的の行事で(亀を放して功徳を詰む商売は落語にも出てくる)、八幡神とはなにかによれば、隼人出兵で多数の殺生を行った業から病の流行や天変地異が起こることを恐れた朝廷が法蓮主導で行わせたものという(宇佐神宮-神仏習合にも記載あり)。

そしてまた、英彦山神宮の中宮は宇佐神宮から来たものだという。

英彦山神宮に関しては神仏習合修験道の観点からも貴重な資料が存在するのでまた調査を行いたい(何故か資料館が冬季休館していた...初詣の時期にこそ開けていてもらいたいものだ)。

 

これまであまり意識していなかったが、八幡神神仏習合に関して、地元周辺の神社で思わぬ収穫をすることができた。香春~英彦山~宇佐と、古代豊前に渡ってきた渡来人と当時の最新テクノロジー、そして信仰のダイナミズムを感じることができる。

神社の謂れや地名を調べてみると、はるか昔の伝承が現在に生きていることが分かってなかなか興味深い。

 

神仏習合 (岩波新書)

神仏習合 (岩波新書)

 

 

  

八幡神とはなにか (角川ソフィア文庫)

八幡神とはなにか (角川ソフィア文庫)

 

 

神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)

神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈 (岩波新書 黄版 103)

 

 

あまりの大きさに思わず合掌、牛久大仏年越しカウントダウン

今年の年末年始は関東で過ごすことになったため、一度行ってみたいと思っていた牛久大仏のカウントダウン花火イベントに行ってきた。

 

牛久大仏とは日本が世界に誇る世界最大のブロンズ製大仏で、その大きさ全高120m。奈良の大仏(全高18m)が手の平に載るという巨大さで、年末に行われるカウントダウンイベントでは大仏間近から花火が上がり、誰もが思わず合掌してしまうという。

仏教徒なら一度は行ってみたいという思いがあり、このカウントダウン花火をカメラに収めるべく牛久に行ってきたのである。

 

日暮里から常磐線で揺られること1時間弱、夕暮れ時の牛久に到着する。

 

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早速の大仏推しである。

 

イベントは夜の11時頃から始まるため、一旦ホテルで休憩である。

牛久大仏へはタクシーで20分ほどかかり、帰りにはタクシーをなかなか捕まえられないため、電車の場合もレンタカーを借りておくことをおすすめする。

 

10時頃まで駅前のホテルで時間を潰し、いざ出発。牛久の夜はかなり冷え込むので防寒対策はしっかりしておきたい。

10時半頃の到着時点でかなりの人が集まっており、開門待ちは長蛇の列であった。

 

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入口周辺には色々とお店があり、土産物を売っている

 

事前に聞いていたのよりも少し早い10時45分に門が開き、参拝客が敷地内になだれ込む。ここが勝負といそいそと大仏前に陣取り、無事三脚をセットすることができた。意外にも三脚をセットしているようなアマチュアカメラマンは多くなく、また敷地も広いためそこまで混雑していないのが幸いであった。

 

実際に牛久大仏を目の前にするとこれがもうとにかく大きい!スマホは勿論、一眼レフの標準ズームでも厳しいほどのサイズで、前情報から超広角レンズを持って行って正解であった。

 

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とにかくでかい。

 

さて、カウントダウンイベントはここからである。11時からカウントダウン前花火が打ち上げられ(3000円で名前を呼んでもらえる)、11時30頃に一旦花火が中断され、大仏のライトアップと読経が始まる。

花火と大仏のコントラストが新鮮であり、またライトアップされた大仏には独特の迫力とありがたみがあり、思わず合掌。

今のカメラを買ってから初の花火撮影だったが、無事写真に収めることができた。

 

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大仏前の花火は普通の花火大会とは全く違う迫力がある。

 

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ライトアップされた牛久大仏

 

そしてクライマックスはもちろんカウントダウンである。牛久大仏の管轄は浄土真宗東本願寺であり、阿弥陀如来をかたどっている。このため、掛け声はもちろん南無阿弥陀仏。6秒前からのナ・ム・ア・ミ・ダ・ブツで年を越すという浄土真宗門徒にぴったりの年越しである!

そして年明けと同時に大仏前から物凄い勢いで花火が上がる様はまさに西方浄土

ある種日本最大のカウントダウンイベントと言えるだろう。関東近郊にお住いの方は是非一度体験してみてもらいたい。

  

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この迫力である

 

ちなみに花火であれば夏のお盆の時期にも牛久大仏万燈会というイベントが行われているので、一年待てないという方はそちらに行ってみるのも良いだろう。

 

 

 

牛久大仏忽然の貌―世界一の阿弥陀像完成までの1765日を記録 荒海美子・牛久きちい・大谷淑子写真集 (BeeBooks)

牛久大仏忽然の貌―世界一の阿弥陀像完成までの1765日を記録 荒海美子・牛久きちい・大谷淑子写真集 (BeeBooks)

 

 

聖☆おにいさん(1) (モーニングコミックス)

聖☆おにいさん(1) (モーニングコミックス)

 

 

夜の新宿への招待 ~ゴールデン街・新宿二丁目~ 前編

※これは伝道師になろうアドベントカレンダー23日目の記事です。 

 

昨日の記事はregicatさんのセカンドライフって電通が流行らそうとしたアレでしょ?というあなたにでした。

www.adventar.org

 

-- 本編ここから --

今年僕の界隈で話題になった本に、「東京どこに住む?」がある。

 

 東京の引っ越し事情における長い西高東低状態から東側の復権(※これまで東京は中央線沿いや東横線沿いなどの西側が人気だったが最近東京駅周辺の東側の人気が出てきている)や、東京一極集中の歴史、IT企業が未だに都市に集中している理由など、都市論が好きな人にはたまらない内容だが(読んでいてかなり楽しい)、人が住む場所を決める理由にも1つ章が割かれており、財布との相談やブランド意識(未だに何が何でも東横線なんて人がいるのだ)、LGBTコミュニティの存在など、人それぞれの住宅決定事情が取材されている。が、実はまえがきにも書かれているように、意外と人は引っ越し場所を決めた理由が「何となく」だったり「覚えていない」だったりするのである。現実的には職場へのアクセスと財布との相談で決めている人が多いのではないか。

 

そんな中でも、僕には明確な引っ越し理由がある。それは"夜の新宿が好きだから"である。僕は元々千葉県某市に住んでいたのだが、新宿で飲む機会が増えたこともあって引っ越し先を東京西側にした。今は新宿から歩いて帰れる場所に住んでいる。

 

夜の新宿というと、椎名林檎のこの曲や、

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このゲームのように 

 

龍が如く6 命の詩。 - PS4

龍が如く6 命の詩。 - PS4

 

 

 歌舞伎町をイメージされるかもしれない。

だが僕が飲む街はそこではない。歌舞伎町のすぐ隣のゴールデン街と、そこから少し離れた新宿二丁目である。今日はこのゴールデン街と二丁目の魅力について語りたいと思う。

前編はゴールデン街についてご案内する。

 

ゴールデン街

 

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新宿区役所から区役所通りを挟んだ反対側、ミスタードーナツの脇にかつては川だったと思われる小道がある。新宿を訪れた際、この奥には何があるのだろうと想像を膨らませた方もいるかもしれない。実はこの奥に新宿ゴールデン街がある。

※後述するが花園神社側から入るルートもある

 

文化人の街、ゴールデン街

ゴールデン街

東京に数ある飲み屋横丁の中でも、とびきりディープな街として知られ、わずか50m四方ほどの一画に200店舗以上のバーや小規模飲食店が密集している。この街の何が特別なのか。それはこの群を抜く密集度と、文壇バーをはじめとした個性的なバーの数々である。文壇バーはこの街を代表する文化であり、昭和40年頃から作家や編集者、評論家が集まってきた歴史を持つ。例を挙げれば、漫画家の赤塚不二夫や画家の岡本太郎が常連であったと言われるし、歌人俵万智が不定期で働くバーがあったのは有名である。近年だと映画評論家の町山智浩氏や元ナックルズ編集長の久田将義氏がゴールデン街について言及している。ここでは名前を出さないが、すぐ隣に座っている紳士に見覚えがあるのでよくよく見たら評論家だったこともある。

このような歴史を持つ街のため、文化好きな人の割合が高く(妙に詳しい謎のおじさんがまた面白い)、今夜も色々なバーで映画や文学、サブカルチャーの話が繰り広げられているのだ。

あの頃のインターネットの面影を求めて

僕がこの街に通うようになったのは、全く関係ない話に思われるかもしれないが"あの頃のインターネット"に初めて触れた時の感動を再び味わうことができたからである。

"あの頃"というのは、具体的には2000年前後のインターネットである。

僕が生まれたのは1986年。小学生の頃に地下鉄サリン事件(1995年)が起き、今では考えられないが麻原彰晃の空中浮遊ネタ(勿論ジャンプした瞬間を撮影しただけなのだがネットのない当時は信じている人が結構いた)や尊師マーチをはじめとした洗脳ソングが一日中テレビで流れ(※このため小学校の帰りにリコーダーで尊師マーチを吹くのが流行った.音楽の授業を真面目に受けるのはこのためであった)、また同時期に学校の怪談ブームが起き、日常的にトイレの花子さんやテケテケといった怪談話が噂として語られていた。心霊番組や超能力番組も定期的に放送され、オカルトネタが一世を風靡していた。さらに父親週刊新潮の読者だったため、盗み読みするうちに小学生ながら週刊誌にハマり、同級生がジャンプを読んでいる間に週刊新潮を読んで新興宗教や犯罪や暴力団について知識を蓄える日々を送っていた。加えて、97年の神戸児童連続殺傷事件東電OL殺人事件、00年の世田谷一家殺害事件などが連日報道され、世紀末を控えた世情は妙な暗さを伴っていた。

 

このような育ち方をしたため、僕は心霊、超能力やUMAなどのオカルトネタから暴力団、新興宗教、シリアルキラー、ドラッグ、凶悪犯罪などのアングラネタ、すなわち反社会的なネタに関しては一通り手を出しているアングラ少年となった。

※ちなみに僕はその後理系に進み、今では当時とは正反対のオカルトネタ暴きを楽しむタイプのオカルトマニアとなっている。理由は1999年のノストラダムスの大予言が外れたからである。僕は真剣に世界の終わりを願っていたが、1999年7月7日は何事もなく訪れた。世界は滅びなかったが僕のオカルト世界は終わりを迎えた。

 

 ところが、ここまでディープな趣味となると思う存分話せる環境がなかなかない。そんな時我が家にやってきたのがパソコンとインターネットだった。

00年前後のインターネットはまだまだアングラだった。当時隆盛を誇った巨大掲示板、2ちゃんねるについての初の書籍であろう2ちゃんねる宣言が出版されたのが2001年。

 

2ちゃんねる宣言(増補版)挑発するメディア (文春文庫PLUS)

2ちゃんねる宣言(増補版)挑発するメディア (文春文庫PLUS)

 

 

2ちゃんねるに犯行予告らしき書き込みを行っていたことが話題を呼んだ西鉄バスジャック事件、いわゆるネオ麦茶事件が起きるのがまさに2000年であった。

この時期のインターネットには、ちょっと探せば(当時は検索エンジンもそこまで成熟しておらずアングラ系サイトのリンク集を辿ることが多かった)睡眠薬横流し用掲示板や集団自殺の募集掲示板が見つかり、「これは凄いものがやってきた!」という感動と共に小規模掲示板に入り浸る日々を送った。ドラッグの話も凶悪犯罪の話も通じる世界。そこはまさに、少年時代の僕が見たフロンティアであった。

 

話がインターネット懐古になってしまったが、ここでゴールデン街に戻ってくることとしよう。さすがに最近はどストレートなアングラネタを話すことは少ないが、「ちょっと変わった話が通じる空間」として、ゴールデン街には当時のインターネット以上のものがある。僕の記憶に残っている話は以下のようなものである。

 

・何故かB級サメ映画に詳しいおじさん(シャークネードってご存知ですか?)

東電OL殺人事件と渋谷円山町の歴史(ダムに沈んだ村の人が円山町のホテル街を作った)

・裏カジノを冷やかしに行ったお兄さんの体験談(ディーラーの小指がないらしい)

 

いずれも妙に気を惹くものがあり、しかも普通の映画や文学などにも詳しい人がいると「この人は何者なんだ!?」という気分になる。

僕はこのように色んな話題になぜか詳しい人を"新宿の無形文化財"と呼んでいる(多分僕しか使っていないので是非とも使って頂きたい)。

 

ゴールデン街へのアクセスと楽しみ方

 

さて、実際のゴールデン街の楽しみ方について語るとしよう。

ゴールデン街に行くには、新宿駅から入るルートと、新宿三丁目駅から入るルートの2種類がある。地図の左側がこの記事の冒頭で紹介した新宿区役所側ルート、右側が新宿三丁目駅ルートである。新宿三丁目駅から通ずるルートに関しては、花園神社を通過することとなる。幅の狭い階段を下りれば、そこがゴールデン街である。

 

初めてゴールデン街に行く際は慣れている人に連れ言ってもらう(いつでも僕がご案内します)のが楽しいが、都合が合わなければ一人で行っても楽しめる。いわゆる「一見さん」でも大丈夫なのか?と心配される向きもあると思うが、最近は一見さんお断りの店などはまずないので安心して欲しい。インターネットを検索すれば、初めての人が多く訪れるバーの情報が見つかるのでまずはそこに行くと良いだろう。僕のおすすめは月に吠える(ここでは語らないが僕は萩原朔太郎の大ファンでもある)とバー図書室(図書室をテーマにしたバーで大量に本が置いてあり借りることも可能)である。あ、それから小腹を満たしたい時は(煮干しラーメン屋で常に行列.歌舞伎町店もあるが食べるならやはりゴールデン街)かクリシュナばるぼら屋...と語り出すと止まらないのでここらへんにしておこう。初めての場合は「ゴールデン街はじめてなんですよ」と言えばマスターや常連さんがおすすめのお店を教えてくれるだろうし、酔いが回るまで淡々と酒を飲みつつ、盛り上がっている話に加わっていくのも良い(そういうわけで最初はある程度人が入っているバーに行くと良い)。

 

さて、最初のお店で盛り上がった後はハシゴ酒をやってみよう。集積度を活かしたハシゴがゴールデン街の楽しみである。まさに「ちょっと一杯のつもりで飲んで、いつの間にやらハシゴ酒」の世界が広がっている。

 

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飲んで楽しみ、落ち着いた頃合いでまた別の店へ...この楽しさも僕がゴールデン街にハマった理由の1つである。その時には別のお客さんがおすすめのバー(何しろ大量にバーがあるので行ったことない店のほうが多い)を教えてくれることもあるし、一人でふらふらと初めての店や馴染みの店に行くのも良い。

僕のいつもの楽しみ方としては、常連になっているバーがあるのでまずそこで飲む(どこかは僕と飲んだ時のお楽しみということにしたい)、そこで1時間ほど楽しんだら、話の中で出たバーや前に行って楽しかった店に行き、そこでまた楽しんで...と3軒ほどハシゴして終電近くの電車で帰る。万一終電を逃した際も歩いて帰れるのが引っ越した利点である。また、終電を逃した場合はそのまま帰らず朝まで飲むのもまた楽しい。

店から店へとハシゴして楽しむ様はまるで遊園地のアトラクションを巡る客のよう。

そう、ここは大人のテーマパークなのだ。

 

皆さんにも是非JR新宿駅東口を出て、ゴールデン街で遊戯してみて欲しい。

 

 ゴールデン街愛を語るうちに4000文字を超えてしまった。ゴールデン街と並んでディープな街、新宿二丁目については後編で語りたいと思う。

 

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明日の記事はnkjmさんの"メリークリスマス!さいきんのさいきんのはなし、書きます"です。

呪われた装備に魔法をかけて ~僕が女装する理由~

【Amazon.co.jp限定】FINAL FANTASY XV Original Soundtrack【CD通常盤】(未収録トレーラー楽曲集(CD)付)

 

※これは伝道師になろうアドベントカレンダー4日目の記事です。

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昨日の記事はせきゅーんさんによる

好きな(曲, 部分)を伝道する - インテジャーズ

でした。

 

--ここから本編--

 

皆さんは呪われた装備というものをご存じだろうか。

RPGに出てくる、一度付けると外せなくなる装備のことである。

 

今日は呪われた装備の話から出発し、僕が頻繁に聞かれる「なぜ女装するのか?」という質問への答えも絡めながら、女装・コスプレの魅力についてお伝えしたいと思う。

 

皆さんの人生を思い返してみて欲しい。生まれつき自分が持っている属性の中で、ままならないものはないだろうか。人によってはそれが性別であり、またあるいは血筋かもしれない。そしてもしかしたら、それは「外見」かもしれない。

僕が思うに、外見こそが現代社会に残る呪われた装備である。

我々の社会はこれまで、「生まれつきの属性で人生が決まってしまうこと」を極力抑える方向に進んできた。

 

機会の均等と種々の自由。

 

PS one Books 街~運命の交差点~ サウンドノベル・エボリューション3

チュンソフトサウンドノベル3部作の中でもカルト的人気を誇る「街」

1つ1つの選択がその後のストーリーに影響を与えていく。意外に有名な役者が出てたりする。

 

我々は自分の意思の下、人生において発生する膨大な分岐点において選択を行う。これこそが自分の人生を"自分のもの"たらしめる理由である。

生まれに関係なく、我々は後天的な努力で階層上昇を成し遂げ、自己実現を達成することができる。

トランプ大統領誕生でにわかに注目を集めているHillbilly Elegyの著者 -米国の貧しいラストベルト地帯からイェール大学に進学し、現在はベンチャー企業の代表を務める-はその典型だ。

※この信仰が強すぎると弱者しばきに繋がるのだがここでは置いておく。

 

自分なりに納得して人生の選択を行い、努力を重ね、自己実現している我々...

 

ところが、ここに後天的な努力ではなかなか解決できない呪いの装備が存在する。それが身体的特徴である。

鏡に向かう時、我々は嫌でも自己の体というものに向き合わざるを得ない。が、そこにコンプレックスがあったとしたらどうだろう。これを根本的に解決する方法は今のところ、SFの中にしか存在しない。そう、義体化である。

 

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊

 

攻殻機動隊の世界においては、もはや肉体はただの入れ物にすぎない。呪われた装備である身体を「後天的努力」の軍門に下すことのできる世界なのである。そして、脳すら機械に置き換えることのできる世界においては、個人を個人たらしめるものはSFらしからぬ霊的な概念-ゴースト-でしかありえない。

 

意識がSFの世界に飛んでしまった。話を現実に戻そう。

 

義体化が実用化されるとしても、勿論ずっと未来である。我々は呪われた装備である身体と一生付き合っていかなければならない。

 

もしも自分の外見が気に入らなかったとして、現在のところ、対処策としては2つの方向が存在する。 

  1. 外見を赦すことなく、他の価値(後天的努力で勝てる部分)向上で勝負する
  2. 自分の外見を赦す方法を探す

 1つめは分かりやすい。外見に納得がいかない分、他の部分で努力して自分を受け入れる方法である。実際、この方法で自分を受け入れている人も多いことと思う。ただし、この方法には1つ懸念がある。努力による承認がほとんどを占めてしまった場合、

 

「努力しない状態の自分 ― ゴーストに価値はあるのか?」

 

 という疑問、あるいは恐れが湧いてしまうのだ。

 

唐突だが、ここで1冊のナンパ本を紹介しよう。

 

世界で最も売れたナンパ本とも言われる、ザ・ゲームだ。

 

ザ・ゲーム 退屈な人生を変える究極のナンパバイブル (フェニックスシリーズ)

 弁解しておくと、僕自身はナンパ師が嫌いで(何度かナンパされたこともあるがあまり気持ちの良いものではない)、この本を買ったのもナンパの勉強目的ではない。

一時期勉強していた催眠がナンパ師に利用されていると聞いて、僕が割と真面目に勉強している技術をインチキナンパ師がどう悪用しているか見てやろうと思ったのが購入の理由である。

 

さてこの本、「ナンパバイブル」などと銘打たれているが実はナンパのHowToはほとんど出てこない。中身は小説仕立てになっており(一応ノンフィクションということになっておりパリス・ヒルトンをナンパした話なんかが出てくる)、良い大学を出たものの全くモテない主人公が、ナンパの師匠に出会うことによってナンパ業界でのし上がり、女性を意のままに落としていく...というモテない男性への自己啓発のような内容なのだ。

途中までは。

ところが、物語はそこでは終わらない。

実は途中から、ナンパのし過ぎで学業がおろそかになって退学した学生や会社をやめた男が出てきて、ナンパ師達がナンパ目的で借りた家にもナンパにしか興味がない社会不適合者が入り浸るようになり...やがてはナンパコミュニティが崩壊していく話なのである(正直この本がナンパバイブルになっている理由がよく分からない)。

 そして有名ナンパ師になった主人公=筆者はどうするか。実はナンパテクニックが通じなかった女性と一緒になってしまうのである!

これはつまりどういうことかというと、ナンパテクニックのような「後天的に身に着けた能力」で寄ってくる女性ではなく、「後天的な要素とは関係ない自分=ゴースト」を受け入れてくれる存在に主人公は安住の地を求めたのではないかと僕は思うのである。

 

それでは2つめの方法はどうだろう。自分の外見を赦す方法を探してみるというものだ。

そう、ここでようやく出てくるのが女装である。

 

僕が女装を始めたのは1年半ほど前。ある初夏の夜だった。

当時付き合っていた女性と別れてすぐだった僕は、何気なくツイッターに流れてきた「男の娘」画像を見て「ちょっと男の娘でも見てみるか」とばかりに当時新宿で行われていた日本最大の女装・NHイベント、プロパガンダに足を運んだのだった。

 

youtu.be

今年終わってしまいましたがこのようなイベントです↑

 

思い切り非日常な空間で興奮しながらも、何気なく女装ブースの料金表を見ていた時にメイクのお姉さんに言われたのがこの一言だった。

「お兄さん、顔小さいし童顔だから絶対に女装が似合うよ」

と。まぁ一生に一度くらいはやってみるか、と思った僕は酔いの勢いもあってメイクをお願いすることにした。

確か20分ほどだったと思う。変身後の自分を見て驚いた。そこで僕は初めて、「女装=外見で魅せる行為が似合う自分」を発見したのだった。

これまでコンプレックスだった、小柄、童顔、声が高いという特徴が、全て女装では有利に働いた。

そして、自分の体に対して、こんな素質があったのに活かしてやれなかったのか、と謎の贖罪意識が沸いてきた。

それから僕は、月に何度か女装イベントやコスプレイベント、ゴスイベントに足を運ぶようになった。

そこで気付いたのは、人それぞれに色々な外見的特徴があるが、統一的な美の基準というものはなく、それぞれの世界には各々の美と承認が存在するということだ。

何も筋トレと日サロに行ってウェイ系のようになっている男性が絶対的な美というわけではなく、それぞれの世界にはそれぞれの美しさがあり(ゴスなどウェイ系と真逆だが美しい)、人それぞれ自分の生まれ持った身体で世界観を作ることができれば、それだけで価値がある=その世界観が似合う自分の外見を発見することができるのだ。

 

女装が似合うという素質を活かし、呪われた装備である外見を受け入れる、ひいては自分を受け入れるため。それが僕が女装する理由である。

女装パーティーやコスプレ会場に足を運べば、あなたも自分の装備を受け入れるきっかけを見つけられるかもしれない。

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明日の記事は、rgbten084さんの料理男子の弁当Hackです。