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呪われた装備に魔法をかけて ~僕が女装する理由~

【Amazon.co.jp限定】FINAL FANTASY XV Original Soundtrack【CD通常盤】(未収録トレーラー楽曲集(CD)付)

 

※これは伝道師になろうアドベントカレンダー4日目の記事です。

www.adventar.org

 

昨日の記事はせきゅーんさんによる

好きな(曲, 部分)を伝道する - インテジャーズ

でした。

 

--ここから本編--

 

皆さんは呪われた装備というものをご存じだろうか。

RPGに出てくる、一度付けると外せなくなる装備のことである。

 

今日は呪われた装備の話から出発し、僕が頻繁に聞かれる「なぜ女装するのか?」という質問への答えも絡めながら、女装・コスプレの魅力についてお伝えしたいと思う。

 

皆さんの人生を思い返してみて欲しい。生まれつき自分が持っている属性の中で、ままならないものはないだろうか。人によってはそれが性別であり、またあるいは血筋かもしれない。そしてもしかしたら、それは「外見」かもしれない。

僕が思うに、外見こそが現代社会に残る呪われた装備である。

我々の社会はこれまで、「生まれつきの属性で人生が決まってしまうこと」を極力抑える方向に進んできた。

 

機会の均等と種々の自由。

 

PS one Books 街~運命の交差点~ サウンドノベル・エボリューション3

チュンソフトサウンドノベル3部作の中でもカルト的人気を誇る「街」

1つ1つの選択がその後のストーリーに影響を与えていく。意外に有名な役者が出てたりする。

 

我々は自分の意思の下、人生において発生する膨大な分岐点において選択を行う。これこそが自分の人生を"自分のもの"たらしめる理由である。

生まれに関係なく、我々は後天的な努力で階層上昇を成し遂げ、自己実現を達成することができる。

トランプ大統領誕生でにわかに注目を集めているHillbilly Elegyの著者 -米国の貧しいラストベルト地帯からイェール大学に進学し、現在はベンチャー企業の代表を務める-はその典型だ。

※この信仰が強すぎると弱者しばきに繋がるのだがここでは置いておく。

 

自分なりに納得して人生の選択を行い、努力を重ね、自己実現している我々...

 

ところが、ここに後天的な努力ではなかなか解決できない呪いの装備が存在する。それが身体的特徴である。

鏡に向かう時、我々は嫌でも自己の体というものに向き合わざるを得ない。が、そこにコンプレックスがあったとしたらどうだろう。これを根本的に解決する方法は今のところ、SFの中にしか存在しない。そう、義体化である。

 

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊

 

攻殻機動隊の世界においては、もはや肉体はただの入れ物にすぎない。呪われた装備である身体を「後天的努力」の軍門に下すことのできる世界なのである。そして、脳すら機械に置き換えることのできる世界においては、個人を個人たらしめるものはSFらしからぬ霊的な概念-ゴースト-でしかありえない。

 

意識がSFの世界に飛んでしまった。話を現実に戻そう。

 

義体化が実用化されるとしても、勿論ずっと未来である。我々は呪われた装備である身体と一生付き合っていかなければならない。

 

もしも自分の外見が気に入らなかったとして、現在のところ、対処策としては2つの方向が存在する。 

  1. 外見を赦すことなく、他の価値(後天的努力で勝てる部分)向上で勝負する
  2. 自分の外見を赦す方法を探す

 1つめは分かりやすい。外見に納得がいかない分、他の部分で努力して自分を受け入れる方法である。実際、この方法で自分を受け入れている人も多いことと思う。ただし、この方法には1つ懸念がある。努力による承認がほとんどを占めてしまった場合、

 

「努力しない状態の自分 ― ゴーストに価値はあるのか?」

 

 という疑問、あるいは恐れが湧いてしまうのだ。

 

唐突だが、ここで1冊のナンパ本を紹介しよう。

 

世界で最も売れたナンパ本とも言われる、ザ・ゲームだ。

 

ザ・ゲーム 退屈な人生を変える究極のナンパバイブル (フェニックスシリーズ)

 弁解しておくと、僕自身はナンパ師が嫌いで(何度かナンパされたこともあるがあまり気持ちの良いものではない)、この本を買ったのもナンパの勉強目的ではない。

一時期勉強していた催眠がナンパ師に利用されていると聞いて、僕が割と真面目に勉強している技術をインチキナンパ師がどう悪用しているか見てやろうと思ったのが購入の理由である。

 

さてこの本、「ナンパバイブル」などと銘打たれているが実はナンパのHowToはほとんど出てこない。中身は小説仕立てになっており(一応ノンフィクションということになっておりパリス・ヒルトンをナンパした話なんかが出てくる)、良い大学を出たものの全くモテない主人公が、ナンパの師匠に出会うことによってナンパ業界でのし上がり、女性を意のままに落としていく...というモテない男性への自己啓発のような内容なのだ。

途中までは。

ところが、物語はそこでは終わらない。

実は途中から、ナンパのし過ぎで学業がおろそかになって退学した学生や会社をやめた男が出てきて、ナンパ師達がナンパ目的で借りた家にもナンパにしか興味がない社会不適合者が入り浸るようになり...やがてはナンパコミュニティが崩壊していく話なのである(正直この本がナンパバイブルになっている理由がよく分からない)。

 そして有名ナンパ師になった主人公=筆者はどうするか。実はナンパテクニックが通じなかった女性と一緒になってしまうのである!

これはつまりどういうことかというと、ナンパテクニックのような「後天的に身に着けた能力」で寄ってくる女性ではなく、「後天的な要素とは関係ない自分=ゴースト」を受け入れてくれる存在に主人公は安住の地を求めたのではないかと僕は思うのである。

 

それでは2つめの方法はどうだろう。自分の外見を赦す方法を探してみるというものだ。

そう、ここでようやく出てくるのが女装である。

 

僕が女装を始めたのは1年半ほど前。ある初夏の夜だった。

当時付き合っていた女性と別れてすぐだった僕は、何気なくツイッターに流れてきた「男の娘」画像を見て「ちょっと男の娘でも見てみるか」とばかりに当時新宿で行われていた日本最大の女装・NHイベント、プロパガンダに足を運んだのだった。

 

youtu.be

今年終わってしまいましたがこのようなイベントです↑

 

思い切り非日常な空間で興奮しながらも、何気なく女装ブースの料金表を見ていた時にメイクのお姉さんに言われたのがこの一言だった。

「お兄さん、顔小さいし童顔だから絶対に女装が似合うよ」

と。まぁ一生に一度くらいはやってみるか、と思った僕は酔いの勢いもあってメイクをお願いすることにした。

確か20分ほどだったと思う。変身後の自分を見て驚いた。そこで僕は初めて、「女装=外見で魅せる行為が似合う自分」を発見したのだった。

これまでコンプレックスだった、小柄、童顔、声が高いという特徴が、全て女装では有利に働いた。

そして、自分の体に対して、こんな素質があったのに活かしてやれなかったのか、と謎の贖罪意識が沸いてきた。

それから僕は、月に何度か女装イベントやコスプレイベント、ゴスイベントに足を運ぶようになった。

そこで気付いたのは、人それぞれに色々な外見的特徴があるが、統一的な美の基準というものはなく、それぞれの世界には各々の美と承認が存在するということだ。

何も筋トレと日サロに行ってウェイ系のようになっている男性が絶対的な美というわけではなく、それぞれの世界にはそれぞれの美しさがあり(ゴスなどウェイ系と真逆だが美しい)、人それぞれ自分の生まれ持った身体で世界観を作ることができれば、それだけで価値がある=その世界観が似合う自分の外見を発見することができるのだ。

 

女装が似合うという素質を活かし、呪われた装備である外見を受け入れる、ひいては自分を受け入れるため。それが僕が女装する理由である。

女装パーティーやコスプレ会場に足を運べば、あなたも自分の装備を受け入れるきっかけを見つけられるかもしれない。

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明日の記事は、rgbten084さんの料理男子の弁当Hackです。