夜の新宿への招待 ~ゴールデン街・新宿二丁目~ 前編

※これは伝道師になろうアドベントカレンダー23日目の記事です。 

 

昨日の記事はregicatさんのセカンドライフって電通が流行らそうとしたアレでしょ?というあなたにでした。

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-- 本編ここから --

今年僕の界隈で話題になった本に、「東京どこに住む?」がある。

 

 東京の引っ越し事情における長い西高東低状態から東側の復権(※これまで東京は中央線沿いや東横線沿いなどの西側が人気だったが最近東京駅周辺の東側の人気が出てきている)や、東京一極集中の歴史、IT企業が未だに都市に集中している理由など、都市論が好きな人にはたまらない内容だが(読んでいてかなり楽しい)、人が住む場所を決める理由にも1つ章が割かれており、財布との相談やブランド意識(未だに何が何でも東横線なんて人がいるのだ)、LGBTコミュニティの存在など、人それぞれの住宅決定事情が取材されている。が、実はまえがきにも書かれているように、意外と人は引っ越し場所を決めた理由が「何となく」だったり「覚えていない」だったりするのである。現実的には職場へのアクセスと財布との相談で決めている人が多いのではないか。

 

そんな中でも、僕には明確な引っ越し理由がある。それは"夜の新宿が好きだから"である。僕は元々千葉県某市に住んでいたのだが、新宿で飲む機会が増えたこともあって引っ越し先を東京西側にした。今は新宿から歩いて帰れる場所に住んでいる。

 

夜の新宿というと、椎名林檎のこの曲や、

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このゲームのように 

 

龍が如く6 命の詩。 - PS4

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 歌舞伎町をイメージされるかもしれない。

だが僕が飲む街はそこではない。歌舞伎町のすぐ隣のゴールデン街と、そこから少し離れた新宿二丁目である。今日はこのゴールデン街と二丁目の魅力について語りたいと思う。

前編はゴールデン街についてご案内する。

 

ゴールデン街

 

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新宿区役所から区役所通りを挟んだ反対側、ミスタードーナツの脇にかつては川だったと思われる小道がある。新宿を訪れた際、この奥には何があるのだろうと想像を膨らませた方もいるかもしれない。実はこの奥に新宿ゴールデン街がある。

※後述するが花園神社側から入るルートもある

 

文化人の街、ゴールデン街

ゴールデン街

東京に数ある飲み屋横丁の中でも、とびきりディープな街として知られ、わずか50m四方ほどの一画に200店舗以上のバーや小規模飲食店が密集している。この街の何が特別なのか。それはこの群を抜く密集度と、文壇バーをはじめとした個性的なバーの数々である。文壇バーはこの街を代表する文化であり、昭和40年頃から作家や編集者、評論家が集まってきた歴史を持つ。例を挙げれば、漫画家の赤塚不二夫や画家の岡本太郎が常連であったと言われるし、歌人俵万智が不定期で働くバーがあったのは有名である。近年だと映画評論家の町山智浩氏や元ナックルズ編集長の久田将義氏がゴールデン街について言及している。ここでは名前を出さないが、すぐ隣に座っている紳士に見覚えがあるのでよくよく見たら評論家だったこともある。

このような歴史を持つ街のため、文化好きな人の割合が高く(妙に詳しい謎のおじさんがまた面白い)、今夜も色々なバーで映画や文学、サブカルチャーの話が繰り広げられているのだ。

あの頃のインターネットの面影を求めて

僕がこの街に通うようになったのは、全く関係ない話に思われるかもしれないが"あの頃のインターネット"に初めて触れた時の感動を再び味わうことができたからである。

"あの頃"というのは、具体的には2000年前後のインターネットである。

僕が生まれたのは1986年。小学生の頃に地下鉄サリン事件(1995年)が起き、今では考えられないが麻原彰晃の空中浮遊ネタ(勿論ジャンプした瞬間を撮影しただけなのだがネットのない当時は信じている人が結構いた)や尊師マーチをはじめとした洗脳ソングが一日中テレビで流れ(※このため小学校の帰りにリコーダーで尊師マーチを吹くのが流行った.音楽の授業を真面目に受けるのはこのためであった)、また同時期に学校の怪談ブームが起き、日常的にトイレの花子さんやテケテケといった怪談話が噂として語られていた。心霊番組や超能力番組も定期的に放送され、オカルトネタが一世を風靡していた。さらに父親週刊新潮の読者だったため、盗み読みするうちに小学生ながら週刊誌にハマり、同級生がジャンプを読んでいる間に週刊新潮を読んで新興宗教や犯罪や暴力団について知識を蓄える日々を送っていた。加えて、97年の神戸児童連続殺傷事件東電OL殺人事件、00年の世田谷一家殺害事件などが連日報道され、世紀末を控えた世情は妙な暗さを伴っていた。

 

このような育ち方をしたため、僕は心霊、超能力やUMAなどのオカルトネタから暴力団、新興宗教、シリアルキラー、ドラッグ、凶悪犯罪などのアングラネタ、すなわち反社会的なネタに関しては一通り手を出しているアングラ少年となった。

※ちなみに僕はその後理系に進み、今では当時とは正反対のオカルトネタ暴きを楽しむタイプのオカルトマニアとなっている。理由は1999年のノストラダムスの大予言が外れたからである。僕は真剣に世界の終わりを願っていたが、1999年7月7日は何事もなく訪れた。世界は滅びなかったが僕のオカルト世界は終わりを迎えた。

 

 ところが、ここまでディープな趣味となると思う存分話せる環境がなかなかない。そんな時我が家にやってきたのがパソコンとインターネットだった。

00年前後のインターネットはまだまだアングラだった。当時隆盛を誇った巨大掲示板、2ちゃんねるについての初の書籍であろう2ちゃんねる宣言が出版されたのが2001年。

 

2ちゃんねる宣言(増補版)挑発するメディア (文春文庫PLUS)

2ちゃんねる宣言(増補版)挑発するメディア (文春文庫PLUS)

 

 

2ちゃんねるに犯行予告らしき書き込みを行っていたことが話題を呼んだ西鉄バスジャック事件、いわゆるネオ麦茶事件が起きるのがまさに2000年であった。

この時期のインターネットには、ちょっと探せば(当時は検索エンジンもそこまで成熟しておらずアングラ系サイトのリンク集を辿ることが多かった)睡眠薬横流し用掲示板や集団自殺の募集掲示板が見つかり、「これは凄いものがやってきた!」という感動と共に小規模掲示板に入り浸る日々を送った。ドラッグの話も凶悪犯罪の話も通じる世界。そこはまさに、少年時代の僕が見たフロンティアであった。

 

話がインターネット懐古になってしまったが、ここでゴールデン街に戻ってくることとしよう。さすがに最近はどストレートなアングラネタを話すことは少ないが、「ちょっと変わった話が通じる空間」として、ゴールデン街には当時のインターネット以上のものがある。僕の記憶に残っている話は以下のようなものである。

 

・何故かB級サメ映画に詳しいおじさん(シャークネードってご存知ですか?)

東電OL殺人事件と渋谷円山町の歴史(ダムに沈んだ村の人が円山町のホテル街を作った)

・裏カジノを冷やかしに行ったお兄さんの体験談(ディーラーの小指がないらしい)

 

いずれも妙に気を惹くものがあり、しかも普通の映画や文学などにも詳しい人がいると「この人は何者なんだ!?」という気分になる。

僕はこのように色んな話題になぜか詳しい人を"新宿の無形文化財"と呼んでいる(多分僕しか使っていないので是非とも使って頂きたい)。

 

ゴールデン街へのアクセスと楽しみ方

 

さて、実際のゴールデン街の楽しみ方について語るとしよう。

ゴールデン街に行くには、新宿駅から入るルートと、新宿三丁目駅から入るルートの2種類がある。地図の左側がこの記事の冒頭で紹介した新宿区役所側ルート、右側が新宿三丁目駅ルートである。新宿三丁目駅から通ずるルートに関しては、花園神社を通過することとなる。幅の狭い階段を下りれば、そこがゴールデン街である。

 

初めてゴールデン街に行く際は慣れている人に連れ言ってもらう(いつでも僕がご案内します)のが楽しいが、都合が合わなければ一人で行っても楽しめる。いわゆる「一見さん」でも大丈夫なのか?と心配される向きもあると思うが、最近は一見さんお断りの店などはまずないので安心して欲しい。インターネットを検索すれば、初めての人が多く訪れるバーの情報が見つかるのでまずはそこに行くと良いだろう。僕のおすすめは月に吠える(ここでは語らないが僕は萩原朔太郎の大ファンでもある)とバー図書室(図書室をテーマにしたバーで大量に本が置いてあり借りることも可能)である。あ、それから小腹を満たしたい時は(煮干しラーメン屋で常に行列.歌舞伎町店もあるが食べるならやはりゴールデン街)かクリシュナばるぼら屋...と語り出すと止まらないのでここらへんにしておこう。初めての場合は「ゴールデン街はじめてなんですよ」と言えばマスターや常連さんがおすすめのお店を教えてくれるだろうし、酔いが回るまで淡々と酒を飲みつつ、盛り上がっている話に加わっていくのも良い(そういうわけで最初はある程度人が入っているバーに行くと良い)。

 

さて、最初のお店で盛り上がった後はハシゴ酒をやってみよう。集積度を活かしたハシゴがゴールデン街の楽しみである。まさに「ちょっと一杯のつもりで飲んで、いつの間にやらハシゴ酒」の世界が広がっている。

 

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飲んで楽しみ、落ち着いた頃合いでまた別の店へ...この楽しさも僕がゴールデン街にハマった理由の1つである。その時には別のお客さんがおすすめのバー(何しろ大量にバーがあるので行ったことない店のほうが多い)を教えてくれることもあるし、一人でふらふらと初めての店や馴染みの店に行くのも良い。

僕のいつもの楽しみ方としては、常連になっているバーがあるのでまずそこで飲む(どこかは僕と飲んだ時のお楽しみということにしたい)、そこで1時間ほど楽しんだら、話の中で出たバーや前に行って楽しかった店に行き、そこでまた楽しんで...と3軒ほどハシゴして終電近くの電車で帰る。万一終電を逃した際も歩いて帰れるのが引っ越した利点である。また、終電を逃した場合はそのまま帰らず朝まで飲むのもまた楽しい。

店から店へとハシゴして楽しむ様はまるで遊園地のアトラクションを巡る客のよう。

そう、ここは大人のテーマパークなのだ。

 

皆さんにも是非JR新宿駅東口を出て、ゴールデン街で遊戯してみて欲しい。

 

 ゴールデン街愛を語るうちに4000文字を超えてしまった。ゴールデン街と並んでディープな街、新宿二丁目については後編で語りたいと思う。

 

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明日の記事はnkjmさんの"メリークリスマス!さいきんのさいきんのはなし、書きます"です。