遮光器土偶は宇宙人だった!?古代宇宙飛行士説とサブカルチャー
歴史で習った人も多いだろう遮光器土偶。これを見た時に、何か不気味な感覚を抱かないだろうか。
オカルト的な話をすると、遮光器土偶は、実は宇宙人だった!?という話があり、これは「ナスカの地上絵やモアイ、ストーンヘンジは古代、地球にやってきていた宇宙人が作った」という、1970年代から世界的に流行した「古代宇宙飛行士説」というオカルト文化のローカライズである。
古代宇宙飛行士説に関しては出処が大体分かっている(デニケンの「未来の記憶」が最も売れた本であり、焼き直しと言える「神々の指紋」もベストセラーになった)のだが、遮光器=宇宙人説がどのようにして生まれ、古代宇宙飛行士説も含めてどうやって我々の元に伝わってきたのかについて気になっていたものの、まず遮光器土偶=宇宙人説の出処が分からなかったので80年代オカルト文化をまとめた「オカルトの惑星」という本を買った。結果、ようやく出処が分かった。
この本によれば、この説の出処は宇宙友好協会(CBA)発行の「空飛ぶ円盤ニュース」1962年9月号、「古代日本にも機密服!?じょうもんスーツの謎」という記事である(当時はUFO研究団体がいくつかあったのだ)。
その後この話は70年代から長く続くことになるオカルトブームの一翼を担うこととなり、「○○大百科」という姿を借りた子供向けオカルト本にほぼ毎回登場する定番話となる...
が、これだけではない。より強力なツールが我々とオカルトを繋いでいる。漫画とアニメである。
実は手塚治虫は先に出てきたCBAの理事をやっており、「勇者ダン」「三つ目がとおる」「ブラック・ジャック」といった作品に古代宇宙飛行士説の要素が出てくるのだ。その他、横山光輝の「バビル2世」、石ノ森章太郎の「サイボーグ009」「人造人間キカイダー」といった作品にもこの神話は取り込まれる。
その他にも様々な作品に影響を与えているが、直接的に遮光器土偶への不気味さを植え付けたのはドラえもんだと思う。
この映画に出てくるツチダマという悪役キャラクターは遮光器土偶そのままで、壊されても何度も復活するのがなかなかのトラウマである。そして、この映画の悪役は、実は未来人だった...という設定なのである。
まぁこんなところだろうと思っていたのだが、僕はこの本を読んで、ある国民的アニメを見落としていたことに気づいた。
そのアニメには、下記のようなオカルト神話の要素が埋め込まれている。
1. 強大なテクノロジーを持つ超古代文明
2. その文明を伝える謎の古代文字
3. 空から降ってきた物体を秘密裏に回収する政府
1986年公開、「天空の城ラピュタ」である。
特に印象深いのは、ラピュタの雷を見てムスカが言う次のセリフだ。
「旧約聖書にあるソドムとゴモラを滅ぼした天の火だよ。ラーマヤーナではインドラの矢とも伝えているがね。」
古代宇宙飛行士説そのままである。
オカルトは勿論ほとんどこじつけだったが、わくわくする気持ち自体は作品を通じて我々を惹きつけ続ける。
その他にも下記のような作品で古代宇宙飛行士説は見られる。マニア向けに思われるオカルトは、様々な作品を通して我々に染み込んでいる。
○映画
・2001年宇宙の旅:宇宙人がもたらした「モノリス」に猿人が触れたことにより人類に進化する
・エイリアンvsプレデター:人類に文明をもたらしたのは宇宙人であるプレデターだった
○アニメ
・超時空要塞マクロス:地球人類は異星人のプロトカルチャーが遺伝子工学で作った
・ふしぎの海のナディア:アトランティス人は実は宇宙人
・飛べ!イサミ:黒幕である黒天狗党は大昔に地球にやってきた宇宙人